【第1話】はじまりのハゲ
僕はハゲだ。どれぐらいハゲかっていうとすごくハゲだ。
僕は空を飛ぶことができるハゲに憧れていた……。
それが全てのはじまりだった。
2078年。少年の名前は禿山ハゲ太。
ある日、とある少女が僕に話しかけてきた。
「どうして、先輩はハゲになろうと思ったんですか!?」
いきなりな質問だった。僕は答えることができなかった。
「空を飛ぶハゲになりたいから」なんて恥ずかしくて言えなかった。
僕はボーッとしながら、窓の外を眺めていた。青い空。
僕はあの広く青い空を飛んでみたかった。
しかしハゲだった。ハゲだから無理だったんだ。
【第2話】"飛ぶ"ということ
ある休日のことだった。その日はすごく晴れていた。
ハゲ太はその空を見て思った。 「今なら飛べる気がする」……と。
ハゲ太は家を飛び出し、ただひたすら走り続けた。
高いところに登って、飛び降りてみようと思ったのだ。
夢中になって走る彼は気がつかなかった。
大型トラックが突っ込んできたことに。
轢かれたハゲ太は、高く宙に飛び上がった。
そして彼は二度と目覚めることはなかった。
しかし、彼の死に顔は笑顔で満たされ まるで天使のようだった。
「ぼく、空を飛べたよ……。」
〜完〜